プロポリスとワルファリン
プロポリスはミツバチが植物などの樹液と体液を混ぜて作り出した塊から抽出したものです。天然の原材料なので副作用などの心配はありません。しかし、特定の薬品と摂取すると悪影響が出るという報告があります。その薬品が「ワルファリン」です。
ワルファリンとは
ワルファリンは、血栓が作られるのを予防するための「抗凝固剤」です。脳卒中や脳梗塞の患者に使われる薬として多くの患者さんに使われています。このワルファリンを投与していた患者が、プロポリスを服用したことで血液の異常な凝固が見られたことが論文で発表されました。
論文内容
日本未病システム学会雑誌に、「ワルファリン投与患者のプロポリス服用により凝固異常を認めた1例」という論文が掲載されました。日本医科大学付属病院薬剤部と日本医科大学第二内科とによる研究報告です。この論文によると、僧帽弁置換手術を受けた患者に抗凝固剤のワルファリンを投与、血液の凝固の指標であるトロンボテストの数値も良好に推移していたのが、急激に数値が上昇するという事態が発生。その原因を探ると手術による傷の回復の為に、プロポリスを服用していたことが判明しました。その後プロポリスの服用をやめるとトロンボテストの数値も回復しました。これらの結果、プロポリスの服用が凝固能異常亢進と考えられると結論付けました。
テレビ報道で話題に
プロポリスとワルファリンの関係がNHKの番組で紹介されました。この番組では「ワルファリンと一緒に摂取するとワルファリンの作用低下を招く可能性がある」と報道していたのですが、なぜか「プロポリスを飲むと血栓ができる」という誤った解釈が広がり、不安に思った視聴者から問合せが殺到しました。
科学的な根拠は不明
プロポリスがワルファリンの効果を阻害する事例は、今のところ論文で報告された1例だけです。しかし、100%影響がないとは言い切れません。特にワルファリンを投与している人は要注意です。また、「プロポリスを飲むと血栓ができる」という情報は誤りですから、正しい解釈をすることが大切です。プロポリスには様々な効果があります。正しい知識を持って、健康づくりに役立てることが大切です。